陶芸作家・藤吉憲典について

花祭窯(はなまつりがま)藤吉憲典(ふじよしけんすけ)。
やきものが大好きで、大好きなことを仕事にできている幸せものです。

「肥前陶磁の価値を高める仕事をし
 肥前陶磁の伝統技術・文化を後世へ伝える」

 

 
  1. 藤吉憲典について About KensukeFujiyoshi
  2. 作陶のこだわり How to make my works

1.藤吉憲典について

【略歴】

1966年熊本県玉名市生まれ
1984年佐賀県立有田工業高等学校デザイン科卒業
同年より上京・広告代理店でグラフィックデザイナーとして活動
1988年佐賀に帰省・有田焼窯元数社で商品開発と絵付指導担当
1997年6月佐賀県江北町に花祭窯を開き独立
2012年4月福岡県福津市津屋崎に花祭窯を移転

【理念】

「肥前陶磁の伝統技術・文化を、生きた個性で形にする」

作家として独立した理由の一つに、肥前陶磁(古伊万里、有田、鍋島などの総称)の技法が、このままでは文献のなかに眠ってしまうという危機感がありました。
鍋島や柿右衛門など国が保護するものは別として、本来あるべき肥前陶磁の良さが、機械化・低価格化・下請化、携わる人たち(作る人・売る人)の勉強不足で、産地から失われていることへの危機感です。
伝統とは革新の積み重ねですが、歴史や基本を大切にしてこそ新しい文化も生まれると考えます。
先人の残した正しく美しい形、基本の絵柄を継承すべき伝統とし、時代に流されない誇るべき肥前陶磁の文化を形にして参ります。

「Think globally, act locally」

世界に視野を広げ、地域視点の取組を。
魂に響く仕事はどんな文化とも共鳴できる。
地方から、そんな仕事の発信を目指します。
画一化・巨大化の対極にあるものづくりをします。

【事業・商品】

<和食器>

食器は古伊万里、特に初期〜中期伊万里の雰囲気を理想とし、佐賀県九州陶磁文化館「柴田夫妻コレクション」を師としています。
現代の食卓で使いたい器、美意識の高い料理人さんに喜ばれる器を提案します。

無機質でない温かみのある白磁、心が安らぐ染付の深い青、空間に華やぎをもたらす赤絵。
持ちやすく、手にしっくりなじむ丁寧な作り。
古典文様に加え、身近な自然を描いた季節感のある独自の文様。
さまざまな由来や願いの込められた古典文様は、その意味や背景を理解して描くことにより、命が吹き込まれます。
「手でつくるからこそできる仕事」をお届けします。

<陶芸術品>
食器同様、古伊万里の伝統文化・技術を原点に、装飾的作品を作っています。
伝統工芸を現代アートに繋げます。創造の翼を広げて、美しいもの・愛らしいものを追求して参ります。
わたしは芸術=美術であって欲しいと願っています。
それが側にあることで、笑顔になるようなもの。
特別な場を必要とするアートではなく、ふだんの空間を特別にする力のあるアート。
自分が自由に楽しく作ったものが、誰かの宝物になる。
こんなに嬉しくて素晴らしいことはありません。

2.作陶のこだわり

【原材料(磁土)】

磁器の生地を作る磁土は、熊本県の「天草陶土」を使用しています。
磁土はその精製度合いにより、土っぽいものから真っ白いものまで 何種類もに分けられます。
そのなかで主に2種類をデザインに応じ使い分けています。
ひとつは やや鉄分を多めに含んだもの。
グレーがかった色に仕上がり、ときどき鉄粉の色が表面に出てくることもあります。
真っ白ピカピカではないので、食卓で土ものや漆器と組み合わせてもよく馴染みます。
土は佐賀県嬉野市にある土やさんに相談をしながら、常に「より理想的な雰囲気」が出せるよう試験をしています。

【原材料(呉須、釉薬)】

呉須(ごす)は染付の青を出す絵具です。
釉薬(ゆうやく)との相性、磁土との相性、 焼成方法によっても発色が変わってくるのが陶芸の面白さです。
鉄分のやや多い「唐呉須(とうごす)」(合成唐呉須) と呼ばれるものを使用しています。
釉薬は「柞灰釉(ゆすばいゆう)」という、焼成の加減により変化しやすい釉薬を使用しています。
一般的に有田などの産地では「白釉(石灰釉)」を使用して いるところが多いです。
これは焼成の加減に関わらず一律にきれいに仕上がるので、短時間で焼き上げる大量生産の窯元やメーカーでは便利です。
白釉は明るいコバ ルト色になり、きれいではあるものの、イメージする古伊万里の雰囲気とは趣が異なるので、わたしは石灰釉は使用しません。
柞灰釉を使うことにより唐呉須と の相性で初期伊万里のような雰囲気、色味を 出すことができます。
ときどき呉須の「焦げ」や「にじみ」が出るのも味わい深いものです。

※焦げ 絵付けのときに染付の絵具である呉須が多めに溜まった部分でおこります。
焼成の際、釉薬と呉須が反応して染付の藍色を発色しますが、呉須の溜まった部分が 釉薬を吸収したりはじいたりして絵の部分が表に出ると直接火があたり焦げて黒っぽくなったり、表面にピンホール状の穴があいたようになることがあります。

※にじみ 釉薬をかける作業の際、やや多めに釉薬がかかってしまった部分でおこる現象です。
焼成の際、釉薬は生地に定着してガラス質になり美しい呉須の藍色を実現しますが、多めにかかっていると、その分溶けて流れ、絵がにじんだ感じになります。

磁器土も、呉須も、釉薬も、絵の具も、材料は佐賀県有田で歴史ある専門業者さんから仕入れています。
材料のプロがつくったもののなかから、選び、組合せを工夫していくなかで、自分のイメージする雰囲気を、独自に出していくことができると考えています。

【焼成方法】

本窯は最高約1260〜1265℃の高温で24〜25時間かけています。 一般的に有田焼のメーカーなどで行われる短時間での強還元焼成では、白くきれいに仕上がっても中はナマ焼けで割れやすいので、「弱還元焼成」で時間をしっかりかけています。
「弱還元焼成」は呉須と釉薬の反応具合による「焦げ」や「にじみ」の原因となるひとつですが、しっかり焼くことで発色に深みが出るうえ、硬質な丈夫なうつわが出来上がります。
磁器なので炎のコントロールが可能な窯を使用しています。佐賀時代はガス窯を使用していましたが、津屋崎への移転に伴い電気窯へと変更しています。電気窯は、温度と時間を設定して自動焼成する仕組みの窯が多いですが、実際は外の気候により微妙に温度の上がり具合や窯内の気圧が異なってくるので、30分〜1時間おきに窯内部の具合を確認し、温度、気圧を調整しながら焚いています。